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本作の主人公・蒼真と、ヒロイン初音の背景設定は、歴史上とても有名な"あの二人"の伝説がベースとなっています。
この伝説を知っておくことで、本作「Good Luck My Road」の随所に張り巡らされた伏線が、より深く理解できる内容となっています。
ただし、事前情報をなるべく知らない状態で鑑賞したい方はこの先に進む事をお控えください。
​グッドラック!!

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~義経と静御前のものがたり~

およそ800年前、鎌倉の由比ヶ浜。

そこで一人の赤ちゃんの命が奪われました。
その赤ちゃんの母親は静御前、父親は源義経。
この悲劇は、義経とその兄である源頼朝の仲が悪くなったために起こったのです。

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​ ロケ地:鎌倉・由比ヶ浜(七里ヶ浜) 

義経と頼朝の仲違い

武士の一族、源氏の大英雄、源義経。兄の頼朝と力を合わせて、宿敵である武士の一族、平家を打ち破ることを果たします。


しかし、義経は英雄になったことで調子に乗り自分勝手に振る舞い、兄の頼朝の怒りを買ってしまいます。
頼朝の怒りは凄まじく、義経を殺すように日本中の武士に命令します。
義経はわずかな家来と恋人の静御前を連れて、吉野に逃げました。そのとき隠れた場所が、吉野山にある吉水神社の「潜居の間」(せんきょのま)です。

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​ ロケ地:吉水神社・潜居の間 

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ふたりは離れ離れに……

しかし、頼朝の追っ手は吉野に迫り、義経たちは険しい山を越えて脱出することを計画します。


その険しい山の名前は大峯山。当時から女性が入ってはいけない女人禁制の山でした。

大峯山は古来より修験道の聖地であり、厳しい修行の山として知られていました。山は非常に危険な為、命を落とすことも珍しくありません。その為、修行者の母親が愛する我が子を心配して、危険な山に入ろうとすることもあったようです。


このような事情から、女性を山の危険から守るために、女人禁制の伝統が生まれたと伝わっています。女性が山に入ることが許されないという掟は、その危険性や修行の厳しさを理解し、女性の安全を守るためのものでした。

その伝統は残り、女人結界門から先は現在も女性が山に入ることはできません。


静御前は愛する義経と一緒に、山を越えることを望みます。しかし、そのとき静御前のお腹には義経の赤ちゃんがおり、厳しい冬の山を越えることは体力的にとてもできません。
義経は静御前の身を案じ、二人は再会の約束を交わし別れることになります。しかし、この時が義経と静御前の永遠の別れとなってしまうのです。

 

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​ ロケ地:女人結界門 

​初音の涙

消えることのない想い

その後、静御前は兄の頼朝の追っ手に捕らえられ、鎌倉に連れて行かれます。静御前は頼朝の前で白拍子を舞い、二つの歌を唄いました。

『吉野山 峯の白雪 踏み分けて 入りにし人の 跡ぞ恋しき』
(吉野山の峯の白雪を踏み分けて、森の奥へと消えていった義経の後ろ姿が恋しい)

『しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな』
(糸が繰り返されてしずの織物が織られるように、しづ、しづとまた義経に呼ばれたい、そのような過去に戻れることができたなら)

※倭文(しづ)――日本の古代の織物の一種。
※をだまき――糸を巻いて玉状にしたもの。

義経への思いを唄った静御前。離れ離れになっても静御前の義経への愛は消えることはありません。それから、静御前は義経の男の子を産みました。

しかし、頼朝はその命を奪うよう命じました。静御前は泣き叫び抵抗するも、赤ちゃんは由比ヶ浜に沈められたのです。
 

その後の静御前の行方ははっきりとしていません。いくつもの伝承はありますが、多くは未練を抱え若いうちに亡くなったと語られています。

一方の義経も岩手県の平泉にて、追い詰められ命を落としました。
義経も静御前も、義経と頼朝の兄弟争いが原因で悲しい最期を迎えたのです。

 

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​ ロケ地:吉水神社・潜居の間 

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​潜居の間の梁(はり)には静御前の和歌が飾られている。

ふたりの悲恋は語り継がれる

義経と静御前の悲劇的な人生は多くの人の同情を集め、数々の伝説、物語が生まれました。

 

その人気作品の一つに『義経千本桜』という浄瑠璃および歌舞伎があります。『義経千本桜』には〈初音の鼓(つづみ)〉というキーアイテムが登場します。〈初音の鼓〉は狐の皮を張った打楽器であり、義経は再会を約束し自分の形見として〈初音の鼓〉を静御前に託します。本作「Good Luck My Road」のヒロインの「初音」の名前はこちらの物語に由来しています。また、この『義経千本桜』の中でも子狐が登場します。

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​※鼓(つづみ)
肩に乗せ手で打つ日本の伝統的な小さな打楽器。

本作は歴史的背景を軸に、ゆかりの地での撮影や、史実、伝承に基づき脚本を構成し制作しました。

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もうお分かりでしょうか?
主人公・蒼真とヒロイン・初音の偶然の出会いの裏には、時を越えた幻想的な恋愛ストーリーが、本作「Good Luck My Road」に描かれているのです。

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